命の台帳を守る娘娘

命の台帳を守る娘娘

主な神様: 註生娘娘
手のひらに乗るほど小さな赤いベビーシューズが、廟の供卓にそっと置かれている。隣には紅卵、折り紙でできた小さなおもちゃ、ちりめん細工の袋。誰が置いたのか、いつ置かれたのか、わからない。でも新しいものと古いものが混ざって並んでいる様子を見ると、ここに来る人が絶えないことが伝わってくる。 祭壇の奥には娘娘が座り、左右に十二人の夫人像が並ぶ。それぞれが赤ちゃんを抱いている。十二支の年を一人ずつ担当し、その年に生まれるすべての命を管理する。天下の誕生記録帳は娘娘の手元にあり、この世に生まれるすべての子は、まずこの帳に名を記されてから来ると言われている。 子を望む夫婦が来る。長い廊下を歩いて、香を立て、静かに手を合わせる。言葉はいらない。望んでいることは、来る前から伝わっている気がする。そういう場所だ。半年後、一年後、無事に生まれた報告に来る母がいる。抱いたばかりの子を見せに来る。その顔は祈るときとは違う、少し恥ずかしそうな笑顔をしている。 台湾の女性たちが口にする話がある。授かった命は、自分が選んだのではなく、娘娘の帳から手渡されたものだという感覚。そう思うと、育てることへの責任と、守ることへの強さが、少し違う場所から来る気がすると言う。 供卓には、届かなかった命への想いもある。返ってきた靴、置きっぱなしのおもちゃ。それでもここに来ることで、何かがほどける人がいる。娘娘は記録をとる神だから、忘れることがない。帳に名前があれば、消えない。それだけで、少し息ができるようになる夜がある。
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