
七十三回生まれ変わった神
主な神様: 文昌帝君
試験前夜の台北、単車の後ろに母を乗せた受験生が廟の石段を上る。受験票をコートのポケットに入れたまま、香を受け取り、両手で押し戴く。煙が目にしみる。何かを言葉にしようとするが、うまく言えない。ただ香を立てて、頭を下げる。文昌帝君の廟の前では、毎年この季節に同じ光景が繰り返される。 張亜子という名の人物が七十三回、生まれ変わったと伝えられる。一度の人生で積める功績には限りがある。二度、三度と転生を重ね、それぞれの生で誠実に生き、学を修め、人を助け続けた。七十三回目の人生が終わったとき、ようやく天は彼を「文昌」——天下の学問と文運を司る神に任じた。 科挙の時代、この話は特別な重みを持っていた。農家の子が官吏になれる唯一の道は、試験だった。身分でも財でもなく、ただ文字を読み、考えを記せるかどうか。一冊の本が、一人の人生を変える可能性があった。その試験の守護神が、七十三回の転生を経て神になった存在であることは、偶然ではない気がする。一回で成らなくても、何度でも積み重ねればいいという話だからだ。 現代の台湾の廟では、試験シーズンになると受験票と2B鉛筆が奉納される。合格した人の御礼の紙が壁を覆い、次の人への励みになっている。大学受験だけでなく、資格試験、公務員試験、就職の試験を前にした人が来る。文昌帝君に祈る行為は、努力を続けてきた自分を確認する儀式でもある。七十三回積み重ねた神に、「私もここまでやった」と報告するように。
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