切れない赤い糸の話

切れない赤い糸の話

主な神様: 月老
台北・霞海城隍廟の月老の前には、いつも行列ができている。赤い糸を手に握り締めた若者が、順番を待ちながら少し緊張した顔をしている。廟の中は線香の煙が濃く、外の街の騒音がここだけ遠く聞こえる。月老に願うとき、人は少しだけ正直になる——誰を好きか、何を望んでいるか、心のどこかで認めていなかったことを。 韋固という男の話は、唐の時代に記された。ある夜、旅の途中で月明かりの下に老人が座っているのを見た。手元に大きな本がある。何を読んでいるのかと尋ねると、老人は「天下の婚姻名簿だ」と答えた。赤い袋の中には無数の糸が入っていて、縁ある二人の足首に結ぶと、どれだけ遠くにいても、どれほど嫌い合っていても、最終的には一緒になると言う。 韋固は自分の相手を見せてほしいと頼んだ。老人が指したのは、市場で野菜を売っている老婆が抱いている三歳の女の子だった。韋固は怒った。みすぼらしい市場の子が自分の妻になるはずがないと、下人に命じて殺させようとした。しかし下人の刃は少しだけ外れ、女の子の額に小さな傷を残して逃げた。 十四年後、韋固は良家の娘と結婚した。花嫁は美しく、賢く、申し分なかった。初夜、彼女が前髪をかき上げたとき、左の眉のあたりに細い傷跡があった。聞くと、幼い頃に誰かに切りつけられたと言う。韋固は黙った。 月老の前に供えられた赤い糸は、今日も売店で売られている。願掛けした糸を結んで帰る人、自分で手首に巻く人、大切な人の写真と一緒に供える人。縁は探すものではなく、すでに結ばれているものだと、老人の本には書いてある。
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