
祀られている神様
紹介
大きな試験シーズンになると、台北文昌宮(たいほくぶんしょうぐう)の壁は受験票のコピーで埋め尽くされ、びっしりと折り重なって壮観な光景をつくります。台北市中山区の双連(そうれん)MRT駅そばに立つこの廟は、市区で最も香火の盛んな文昌廟で、功名を司る文昌帝君(ぶんしょうていくん)を主祀します。参拝者の手には決まって「語呂合わせの供物」の袋が——ネギ(聡明)、セロリ(勤勉)、大根(菜頭、良い前兆)、ちまき(「包中」=合格)と、金榜題名(合格)への願いを、目に見える心づくしにすべて託すのです。
歴史
台北文昌宮は清の光緒年間(1870年代頃)に創建され、当初は大龍峒一帯の文人たちが文昌帝君を祀る場所で、保安宮・孔廟とともに大龍峒の文教信仰の核を成していました。日本統治時代には都市計画のため廟が一時移転し、後に現在地へ戻りました。幾度もの修繕を経て、規模は大きくないものの建築は精緻で雅趣に富みます。台北市中心に位置して交通の便が良く、そこへ長年の「霊験あらたか」という評判が重なり、次第に全台湾の受験生が必ず訪れる文昌廟となりました。大きな試験の前夜になると廟内は合格を祈る受験生と家族で溢れ、受験票が貼り尽くされた壁と廟内の「智慧筆」は、他に類を見ない文化の景観となっています。