真言・経典

往生呪

身近な人が世を去ったとき、台湾の人が真っ先にするのが、その人のためにこの真言を唱えることです——往生呪、正式名称を「抜一切業障根本得生浄土陀羅尼」といい、亡くなった方の業障を抜き去り、西方浄土へと導きます。

詳細紹介

往生呪は、正式名称を「抜一切業障根本得生浄土陀羅尼」といい、台湾の仏教の葬送の習わしや超度の法会で最も大切な真言の一つです。身近な人が世を去るたびに、ひとくだり往生呪を唱えることは、台湾の人々が追慕と祝福を託す、最もありふれたやり方です。

真言の全文

「南無阿弥多婆夜。哆他伽多夜。哆地夜他。阿弥利都婆毘。阿弥利哆。悉耽婆毘。阿弥利哆。毘迦蘭帝。阿弥利哆。毘迦蘭多。伽弥膩。伽伽那。枳多迦利。娑婆訶。」

真言の意味

名前の「抜一切業障根本得生浄土」を見るだけで、その働きははっきりします——亡くなった方が積み重ねてきた業障を根こそぎ抜き去り、阿弥陀仏の西方浄土へ往生できるようにすることです。真言のなかに繰り返し現れる「阿弥利哆」(Amṛta)は、「甘露」あるいは「不死」を意味し、阿弥陀仏の名号のもう一つの音訳でもあります——仏の無量の光明と甘露の法水で、亡くなった方の罪業を洗い流すのです。

唱える時と方法

- 臨終の助念:身近な人の臨終に際して、家族と法友がそばで「南無阿弥陀仏」の名号を唱え、その合間に往生呪をはさんで、逝く人が執着を手放し、浄土への往生を願えるよう導きます。

- 葬送の期間:息を引き取った時から、念仏と往生呪を少なくとも八時間唱えつづけます——仏教では、このあいだ亡くなった方の神識はまだ完全には離れておらず、念仏の声が聞こえるとされます。告別式や法会でも数多く唱えられます。

- 超度の法会:四十九日のうちに七日ごとに営む「做七(なななのか)」の超度で、往生呪は中心となる経呪です。

- 日々の回向:ふだんの勤めとして往生呪を二十一遍唱え、累世の冤親債主(過去世からの因縁ある相手)と亡き親族へ功徳を回向します。台湾の仏教徒に共通する日課です。

- 清明の墓参り:墓前や納骨堂の前で往生呪を唱え、先人が浄土で安らかであるよう祈ります。

関連する経典

往生呪は、たいてい「仏説阿弥陀経」と合わせて唱えます。ひととおりの順序はこうです——まず「阿弥陀経」を一巻読誦し、続いて「南無阿弥陀仏」の名号を若干遍唱え、さらに往生呪を若干遍唱え、最後に回向の偈で締めくくります。このひと組が、台湾の浄土宗の基本の勤めです。

台湾社会への影響

往生呪は、台湾の人々の生と死の文化に深く食い込んでいます。ふだんはあまり仏寺に足を運ばない人でも、身近な人が逝くときには、たいてい何遍か唱えます。多くの葬儀業者は告別式で念仏機を置き、往生呪の録音を流して、会場を荘厳な経呪の声で満たします。ここ数年は「遺言を前もって用意する」ことが少しずつ広まり、臨終には念仏と往生呪で送ってほしいと書き記す人も少なくありません——この信仰が台湾でどれほど深く根を張っているかが、うかがい知れます。